高大融合による理数科高校教員の養成

海外の理数科教育の動向調査−ハワイ編−

平成19年3月5日から10日にかけて、米国ハワイ州の Punahou School 及びハワイ大学へ理数科教育の動向調査に行きました。Punahou School では Mamiya Science Center での理数系の授業を参観し、理科実験室を視察しました。また Punahou School の小中学校にあたる Case Middle School も視察しました。ハワイ大学では、米国の理数科教育プログラム(DASH)のメンバーとお会いして情報交換を行いました。

Punahou School(高校)
教室は天井が高く十分な広さ(本学理系の大実験室のほぼ倍)を有し、可動式の実験台・机は自由にレイアウトを変更できます。一クラス当たり20人までの少人数で、マルチメディアを駆使した授業展開(講義・ビデオ・実験・生徒自身によるPCを用いたまとめ)がほとんどです。貸出用のノートパソコンが受講生徒数分用意されており、Apple社と技術面で提携しています。授業中、生徒に考えさせようとする態度が教員にはあり、質問は随時できます。音楽による雰囲気作りもなされ、飲食も可能です。
時間割はA-F daysという6日間の単位(Cycleと呼ぶ)になっていて、週間予定とずれが生じるため、生徒が目的意識をもって注意していないと取りこぼす可能性もあり、「自由には責任を伴う」ということを重視しています。成績は細かく評価され、小テストでも評価し、F評価が二つで退学になります。大学の単位と互換性のあるAP(Advanced Placement)があり,その内容・レベルは学部教育に匹敵します。
授業料は年間150万円で私学としては高くありません。また、奨学金制度が充実し、全生徒の二割程度が何らかの形で奨学金を受けています。私立学校に勤めるには教員免許は不要で、専門の学部卒業後、教員養成プログラム(1年)を経て教員となることが多く、Punahouでは独自にMAP(Mentering at Punahou)という教員試用システムを運用しています。教員は教科に関する非常に高い専門性をもっています。

    

授業・実験室見学
(1) "AP Environmental Science" テーマ:「ホウネンエビの死亡曲線」
グループごとに硫酸銅の希釈系列(濃度は1ppbから100ppmまでの10万倍ごと)でホウネンエビを前週より飼育し死亡率を算定する授業。片対数グラフを用いてデータのグラフ化・分析・考察を行い、LD50(50%致死量)の推定をします。得られたデータの評価は生徒自身がPCを用いて行います。また環境ホルモンにも言及し、「オスのメス化」をビデオにて学習します。

    

(2) "Anatomy and Physiology" テーマ:「脳神経系:羊の脳の解剖」
生徒20人を1グループ2〜3人ずつに分け、グループごとに一つの脳を解剖する授業。テキストをプロジェクターで投影するとともに,板書(ホワイトボード)を使って目的・手順の説明がされます。手順の詳細は配布プリントに記載されています。解剖後,知識の体系化を図れるように生徒自身がPCとソフトウェアを用いて,インスピレーション・マップを作成します。顕微鏡は生徒一人に一台あります。

    

(3) "Gummy Chromosomes!" テーマ:「染色体の交叉現象」
着色パターンの異なるグミキャンデー(ジェリー)を相同染色体に見立て交叉により一部が交換される仕組みをシミュレートする授業。理解できたら染色体(グミキャンデー)を食べます。

(4) 実験室見学
コンピュータを用いたシミュレーションを活用します。PCソフトウェアは、"Lab Program"を使用します。また、光学実験装置の演示を行ない、実測により実験的に焦点距離の式を求めさせる仕掛けを解説します。Cosmic Rayの検出装置の活用についての説明をします。科学クラブのような形で、学生の希望に応じて5名程が、CERN(European Organization for Nuclear Research(欧州原子核研究機構)のプロジェクトへ参加しています。

  

Case Middle School(小・中学校)
空間が広く、敷地には歴史を感じさせる大きな木が随所にあり、窓からの景色は抜群です。「校舎は家だ」という認識をもち、学年毎にシンボルカラーが決まっています。隣り合う教室同士は間仕切り扉を開けて一つの大教室にすることが出来きます。一学級は23人で、一学年4クラスです。
K-4(小学校4年相当)でPC(Apple Noteタイプ)を授業で使い始めます。PCはほとんどが貸し出しです。K-6(小学校6年相当)の授業では"GarageBand"(マルチメディア・ファイルを融合させるソフト)を用いてPodcastファイル(プレゼンテーション・ファイル)を作成する方法を学んでいました。各自がいろんな所のリソースを取りに行くという調べ学習をさせること、閲覧者を意識した表現力をつけることが目的です。
理科・数学・国語・社会の教室があり、教科別授業では生徒が教室を移動する方式になっています。教室の壁面にかなり高度なレベルの掲示がありました(例えば,電子顕微鏡写真)。
校舎内には、Legoでロボットを作成したり、ゲーム(卓球,サッカーゲーム,エアーホッケー)をするスペースがあります。PCメンテナンスをする専用スペースもあります。

    

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